遺愛のダイアリー

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「光稀はさ、憶えてる?私たちが図書室で会った日のこと」 「あぁ、そういやそんなことあったな。何でお前みたいな不良娘がこんな堅苦しい場所にいるんだって驚いた気がする」 「私もアンタみたいな不真面目が本読むとは思えないって笑い飛ばしたよね」 「その見た目で純文学読むとかありえねぇって笑ったよな」 「そうだね。あの時はほんと、お互いの印象ががらりと変わったよね」  誰も居ない放課後の図書室で出会ったあの日。自分以外に人が居るとは思っていなくて、いざ誰かと遭遇してみれば、図書室には似合わない風貌の人だったから思わず笑ってしまった。それは向こうも同じようで、散々私を馬鹿にしてきたっけ。 「思えばさ、あの日から私たちは仲良くなったんだよね」 「あー、確かにそうだな。元はただのクラスメイトってくらいにしか認識してなかったし」 「まぁ、校則とかに堂々と逆らってた二人だし、元々気はあったんだろうね」 「それもそうだな。真面目ちゃんばかりのあの学校じゃ、不良は希少種みたいなものだったし」 「だね。ほんと、素直に言うのは癪だけどアンタと会えてよかったわ」 「うわ、素直なお前気持ち悪ィな」 「素直に言ったのにそれは酷すぎるでしょばーか!」  せっかく私が素直な気持ちを述べても、光稀は適当にはぐらかす。一度だけちゃんと告白したこともあったけれど、あの時もなんだかんだ誤魔化されてしまったような気がする。  だからこそ、今度はちゃんと言っておかなきゃ。そして、彼からの気持ちも最後に聞いておきたい。 「……あんまり遠回りするのは好きじゃないからさ、直球に言っていい?」
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