【11】last week

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『この場所で、俺は里央にプロポーズしたんだ。4年前ここで……この夜景を見ながら……。そして、この波の音を聞きながら……プロポーズしたんだ』 「うん……そうだったね……」  見つめ合う目と目。  4年前と同じ真剣な眼差し。  恋しくて、愛しくて……。 『愛してるよ……』 「愛してるわ……」  互いの目から、涙がこぼれ落ちた。  俺達の唇は……  互いの心を求め合うように、ゆっくりと重なる。  俺はまだ夢をみているようだった……。  里央とこうして一緒にいられる。  この場所で、俺の大好きな湘南の海に見守られながら……。  月明かりの中、俺は里央を抱き締めた。  あの4年前の夜のように……。  俺は愛を囁くように、里央に何度も唇を重ねた。  ――本当は……  このまま……この姿のまま……  この世界で生きていたかったよ……。  ――里央や渚と一緒に歳を重ね……  おじいちゃんになっても、おばあちゃんになっても……  生きて……生きて……生き抜いて……  この世界で暮らしていたかったよ。  ――残された時間は……  あと僅か……。  俺は……あと数時間しか……  ここにいられないんだ。  ――悲しくて……  寂しくて……  俺は泣きながら里央を抱き締めた。 「純……。私、今夜は眠らない……。眠っている間に純が消えそうで怖いから。ずっと起きている……」  里央は泣きながら、俺の胸に顔を埋めた。 『大丈夫だよ……。眠っている間に消えたりしないから安心して……。俺の腕の中で眠っていいよ』 「本当ね?本当に……黙って行かないでね……。約束よ……」  里央の涙は止まらない。  俺はその涙を指で拭う。 「わかってるよ。君が眠るまで……ずっと俺が抱き締めているから……」  ベッドの中で俺達は抱き合う。  不安がる里央の額に優しく口づけ、里央が眠りにつくまでこの腕で抱き締めた。
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