【11】last week

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 俺達は仲良く3人で歩いているのに、俺の姿はおばちゃんには見えない。  ペンションの内装も4年前と同じで、以前宿泊した時と変わらなかった。部屋は4年前に宿泊した時と、偶然にも同じ部屋だった。  部屋に入ると、里央の顔から緊張が緩み嬉しそうに笑った。 「純、懐かしいね。あの頃と同じだね。見てブルーの壁紙も同じだよ」  里央の隣で渚もハシャイでいる。  犬用のキャリーバッグから飛び出したちくわは、フローリングの床で背伸びをしている。  2人でバルコニーに出ると、湘南の海が一望出来た。 『潮の香りがする!懐かしいなぁ』 「そうね……」  空の青さと、海の碧さ……。  ペンションから眺める海は、まるで1枚の絵画のようだった。 「私……海なんて……。もう2度と見ることはないと思ってた」 『里央……』 「だって……辛すぎるもの……。この海は……私には……辛すぎる」  里央は今にも泣き出しそうだった。 『里央……この海は俺の大好きな海なんだよ。だから……嫌いにならないで欲しい』 「だって……この海は……純の命を……」 『このバルコニーで、俺は里央にプロポーズしたんだ。この場所は、俺にとって悲しい場所じゃない。最高に幸せな場所だったんだ』 「純……忘れていたわ。ここは私が一番幸せだった場所……」
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