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『この場所で、俺は里央にプロポーズしたんだ。4年前ここで……この夜景を見ながら……。そして、この波の音を聞きながら……プロポーズしたんだ』
「うん……そうだったね……」
見つめ合う目と目。
4年前と同じ真剣な眼差し。
恋しくて、愛しくて……。
『愛してるよ……』
「愛してるわ……」
互いの目から、涙がこぼれ落ちた。
俺達の唇は……
互いの心を求め合うように、ゆっくりと重なる。
俺はまだ夢をみているようだった……。
里央とこうして一緒にいられる。
この場所で、俺の大好きな湘南の海に見守られながら……。
月明かりの中、俺は里央を抱き締めた。
あの4年前の夜のように……。
俺は愛を囁くように、里央に何度も唇を重ねた。
――本当は……
このまま……この姿のまま……
この世界で生きていたかったよ……。
――里央や渚と一緒に歳を重ね……
おじいちゃんになっても、おばあちゃんになっても……
生きて……生きて……生き抜いて……
この世界で暮らしていたかったよ。
――残された時間は……
あと僅か……。
俺は……あと数時間しか……
ここにいられないんだ。
――悲しくて……
寂しくて……
俺は泣きながら里央を抱き締めた。
「純……。私、今夜は眠らない……。眠っている間に純が消えそうで怖いから。ずっと起きている……」
里央は泣きながら、俺の胸に顔を埋めた。
『大丈夫だよ……。眠っている間に消えたりしないから安心して……。俺の腕の中で眠っていいよ』
「本当ね?本当に……黙って行かないでね……。約束よ……」
里央の涙は止まらない。
俺はその涙を指で拭う。
「わかってるよ。君が眠るまで……ずっと俺が抱き締めているから……」
ベッドの中で俺達は抱き合う。
不安がる里央の額に優しく口づけ、里央が眠りにつくまでこの腕で抱き締めた。
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