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『ほほう、その歳で男子と一度もデートした事がないのか?』
『えっ……!?か……神様っ!?』
私は神様に首ねっこを掴まれる。
――や……やばい……。
神様に無断で天界を抜け出したことが、バレちゃった!
『毎日毎日何処へ行ってるのかと思えば、天使が人間にストーカーしてどーするのじゃ』
ストーカーだなんて、酷い。
私は純粋に彼のことを……。
『だって、好きになったんだもん』
『天使が人間を好きになっても、どーにもなるまい』
『……だってぇ』
『天使がむやみに人間に接触することは禁じられておる。天界の掟を読まなかったのか。天使の役割と品格が記されておったじゃろう。健康な人間との距離は15センチ開ける決まりじゃ。何故なら、それ以上接近すると、ごくまれに健康な人間の魂が天界に吸い寄せられてしまう危険があるからのう』
『15センチ?そんなこと書いてあったっけ?』
『掟を破った者は、大神様に処罰されるのじゃよ』
『……処罰って?』
神様に無断で地上界に降りることは禁止されている。もし大神様に知れたら、厳しい罰を与えられると聞いた。
だが、天使はみんな品行方正で、今まで処罰された者を見たことがない。きっと大神様の脅しに決まってる。
『罰として、他の生き物に変えられてしまうのじゃ。過去には蛙にされたものもいる』
『他の生き物!?』
他の生き物って何?人間以外に転生するってこと?
可愛い小動物かな?動物は勉強しなくていいから、ミニ兎やハムスターなら構わない。
『乃々香はこの少年のピンチを救ったからのう。規則違反をしたが、善い行いもした。褒美として大神様には黙っておってやるわい』
『神様、どうして私が彼を助けたこと知ってるの?』
『ずーっと物陰から見ておったからのう』
『……うそっ』
神様は私を見て、ニヤニヤ笑ってる。
ずっと見ていたなんて、神様の方が私のストーカーだよ。
『神様は全てお見通しなのじゃ。そんなに恋がしたいなら、乃々香の夢をちょっとだけ叶えてやろう。一時間だけ、人間の体を借りるとするかのう』
『人間の……体を借りる?』
私の脳内に、ハテナマークがピヨピヨと浮かぶ。
それって憑依!?
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