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『そーじゃよ。乃々香を生き返らせることは不可能じゃからのう。弘夢のカノジョであるみちるちゃんは、弘夢が好きなくせに素直になれず、キツいことばかり言っておるのじゃ。これでは両想いなのに結ばれぬ』
『……まじ?神様どうして知ってるの?』
『神様は全てお見通しじゃと申したであろう。JKの恋も焦れったくてたまらんからのう』
『……ありえない。女子高生をストーカーするなんて』
『馬鹿者、誰がストーカーじゃ。乃々香に特別任務を与えよう。恋のエンジェルとなり、みちるちゃんの体を借りて2人の仲を取り持ってやるがよい』
『え!?どうして私が恋仇のみちると弘夢の仲を取り持たなければいけないの。大体、人間との距離は15センチ開けないといけないはず。体を借りるなんて、ソレ合体でしょ』
『合体とな。むひひ、わしの独断と偏見で、コソッとことを運ぶのじゃ。悪戯とはワクワクするのう』
神様はニヤニヤしながら、『ぷぷぷ』と笑っている。
『……変態』
『変態とはなんじゃ。わしは神様じゃぞ。いいのか?このままでは弘夢と話も出来ぬが、みちるちゃんの体を借りれば、話も出来るし、手を繋ぐ事だって、ぷぷぷっ……どーするのじゃ?』
神様が黒目を動かし横目で私を見る。
まじでキモイから。
でも、みちるの体を借りたら、弘夢と話が出来るんだよね。手も繋げるし、もしかしたら……あんなことも、こんなことも……。
憧れの彼とのラブストーリーを妄想し、つい口元がニヤケた。
大好きな弘夢は目の前で腰を抜かし、ヤモリのように床にへばりついている。その姿も可愛い。
天空乃々香として地上界で出逢いたかったけれど、そんな事は無理だとわかっている。私はもう生き返ることは出来ないのだから。
『神様、それで手を打ちます。恋のエンジェルに、乃々香、なります!』
『よし。では、一時間だけ、みちるちゃんの体を借りるとしよう』
『……はい』
天界の掟破り。
でも、たったの一時間……。
神様公認なんだから、大神様も叱らないよね。
――これが私の……最初で最後の恋だから。
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