【3】パパ、ユーレイなの?

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 泣き疲れて眠っていると、ふいに……誰かに抱きしめられた気がした。  体が……温かなものに包まれたような、そんな気がした。  誰もいるはずはないのに、誰かに見られているような気がした。  ――純……。  あなたに、もう一度逢いたいよ。  ――純……。  あなたと、もう一度話がしたいよ。  私は夢の中で……  純に語りかけていた。  眠っているのに、涙が溢れて止まらない……。 ◇  ――翌日、仕事に行き、店長に日曜日に休暇を貰えないか頼んでみたが、やはり無理だった。  仕方ないよね。日曜日は予約でいっぱいだし猫の手も借りたいくらい忙しいから。 「里央ちゃん日曜日はごめんね。多忙日は極力出て欲しいんだ。里央ちゃんはそのための戦力だから。それより今度飲みに行かない?」 「飲みにですか?……私、子供がいるし、夜はちょっと」 「そうだよね。渚ちゃん誰かに預けられない?里央ちゃんの仕事復帰とスタッフの親睦を兼ねて、歓迎会やりたいんだよね。主役が来ないと歓迎会にならないからさ。考えといてよ。日にちは里央ちゃんに合わせるから」 「そうっすよ!行きましょうよ。たまには里央さんも、息抜きしなきゃ。仕事と子育てだけじゃ疲れも溜まるでしょう」  スタッフの木田渉(きだわたる)君も、開店準備をしながらそう声を掛けてくれた。 「大賛成!そうしましょう!」  スタッフの大島幸(おおしまゆき)ちゃんも、笑顔で誘ってくれた。みんなの優しさに、思わず笑みが漏れる。 「そうね。子供のこと知人に相談してみる」  店のスタッフは私含めて5人。  見習いの女子2人を合わせても、合計7人だ。  私が退職した後に入ったスタッフもいるため、仕事をスムーズにするためにも、親睦会に参加することは有意義なことだ。  それに私の歓迎会だと言われたら、尚更欠席できないな。  祐士に渚のことを頼んでみようかな。  祐士なら渚も懐いているし、気心も知れている。  そんなことを考えながらその日の仕事をこなし、渚を保育園に迎えに行き、いつものスーパーマーケットで買い物をして帰宅した。
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