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「私の都合に合わせてくれるんだって。祐士の都合のいい日でいいから」
「そうだな。水曜日は早帰り日だから、仕事が定時に終わるよ」
「うん。じゃあ、水曜日にして欲しいって店長に言ってみる。いつもごめんね」
「いいよ。俺に出来ることは何だって協力するから。遠慮なくいつでも言ってよ」
「うん。ありがとう」
俺は二人の会話をずっと聞いていた。
何だって協力するから?
はん?何だよ、こいつ!
カッコつけやがって、里央のことが好きなのか?
学生時代から……好きだったのか?
俺は仏壇の前に寝転がり、イライラしながら二人を見ていた。
渚とちくわは俺の隣で、同じようにごろごろしている。
「ねぇねぇバパ。きょうね、ほいくえんたのしかったの」
『そっか、よかったな。何をして遊んだんだ?』
「えっとね。ブランコでしょう。すなばで、おだんごもつくったよ」
『そっか。泥だんごか?楽しそうだな。パパも作りたかったな』
「うん!パパもこんどいっしょにつくろうね!」
俺達を里央が不思議そうに見ている。
俺の声は里央には聞こえないから、渚が仏壇の前で1人で喋っているようにしか見えない。
1人でペラペラ喋っている渚を、母親として心配するのは当然だ。
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