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「ゆうじおにいちゃん、パパがつれてこいって」
「えぇー……!?な、何言ってんだよ!昨日からさ、おちびちゃん本当に変だよ?パパはね、もうお空のお星様になったんだよ」
ていうか、星になってねーし。
子供に嘘を教えてんじゃねーよ。
「パパ、ゆうじおにいちゃんがいやだって」
渚が俺の方を向き、両手でバツを作った。
『仕方ねぇな…』
「しかたねぇな…」
渚が俺の口調を真似てニッと笑う。
祐士が慌てて里央に声をかけた。
「なっ、なっ、渚に、純が取り憑いてないか?」
「はぁ……?取り憑くって……?」
「だってさ、昨日から変だよ。絶対に変だよ」
「確かに変だけど。取り憑くって、そんな言い方やめてよ。純は渚の父親なんだから」
里央が祐士に怒鳴った。
祐士は里央に怒鳴られ、ペコペコと頭を下げ「ごめん、悪気はなかったんだ」と、ひたすら謝っている。
まるで、張り子の虎みたいだ。
『そうだ!そうだ! 取り憑くって、人を幽霊みたいに!あれ?俺?幽霊だっけ?』
「パパ……ユーレイって、なあに?」
渚が首を傾げ、つぶらな瞳を向けた。
『んっ……と、もう死んでるって意味だよ』
「ふーん。パパ、ユーレイなの?」
『ん……らしいな……』
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