【4】俺はここにいるよ。

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 里央の目には、指輪がふわふわ飛んでいるようにしか見えないだろう。俺は指輪を里央の掌の上に置いた。 「……嘘でしょう?」  里央は絶句し、指輪を見つめている。  暫く里央は無言で……動かない。  やばいな……。  ショックが大き過ぎたかな?  生きている者にしたら、ホラーだよな。  もしかして、怖がってるのかな? 「純……本当にいるの?」 『ああ……いるよ』 「いるよ、だって」  渚が俺の代わりに答える。 「どうして?ここにいるの?」 『俺にもわかんないよ』 「おれにもわかんないよ、って」 「本当に……ここにいるのね?」 『ああ……』  里央の瞳が潤み、涙が溢れた。  俺を怖がるどころか、里央は両手で顔を覆いぽろぽろと泣き始めた。 「どうして……私には見えないの?渚には見えるのに……どうして……」 『俺にも……わかんないよ』 「おれにもわかんない、だって……」 「逢いたいよ。もう一度……純に逢いたいよ……」 『俺もだ……』  俺は里央を抱きしめた。里央は見えない俺の腕の中で号泣した。渚も「グスングスン」鼻を鳴らしながら、俺に抱きついた。 『渚……ありがとな。大好きだよ』 「なぎさもパパがだいすきだよ」  俺達は時間が経つのも忘れ、寄り添い、抱き合い、渚が眠りにつくまで3人で語り合った。  ――この日から、俺と里央と渚の奇妙な同居生活が始まった。
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