第一章 白髪の魔女

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 目の前に、一人の女性が現れた。  横顔しか見えないが、その佇まいから漂うオーラは物凄くまた彼女から感じる魔力は増大であった。  床に着くほど長い緑の髪に、緑の瞳。  その慈しむような視線の先には、先程ルシア達を案内した妖精がいた。 「この森を、救って下さりありがとうございます」  彼女は、こちらに向き直ってそう言った。 「私はノーム。四大精霊の一人です」  そして、深く頭を下げた。  二人はその名を聞いて驚きを隠せずにいた。 ───四大精霊。    それは、火、水、風、土の四元素それぞれを司る精霊。そして、その属性の王と言われる。  魔力を生み出す元ともなる、強大であり、我々魔法使いにとってはなくてはならないもの。  その中の一つ、土を司る“大精霊ノーム”が、まさか二人の目の前に現れるとは思いもしなかったのだ。  二人は彼女の前に跪いた。 「ノーム様。初お目にかかります。私の名は.....」  ルシアが自分の名を名乗ろうとした時。 「ルシア。ルシア=リヴェット。魔法が使えない魔法使い」  そう言ってノームは目を細めて優しく微笑んだ。  その笑みはどこかいたずらっぽく、無邪気さを感じさせた。  そして、ルシアから目線を外し、ノアを見た。 「そして、その付き人ノア・イグレシアス。お元気そうでなによりです」  ノアは何も言わず、ただノームに向かって頭を下げた。 「精霊たちが教えてくれるのです。あなた達のことを。ですから、私はこの街のことならばなんでも知っておりますよ。顔を下げる必要はありません。どうぞお立ちになって」  ノームのその言葉に、二人は彼女の様子を見ながら立ち上がる。 「さあ、座って」  ノームはそう言うと、木の根から二つの椅子を地中から生み出した。  二人はそこに座り、彼女の様子を伺った。 「どうか、そんなに固くならないで。私はあなた達にお礼がしたいだけなのです。あわよくば、たくさんお話したいわ」  彼女はどこから取り出したのか分からないティーセットで紅茶を注ぎ始めた。  そしてそれを三人分用意し、また新たに生み出した木の机の上に、紅茶の入ったティーカップをそっと置いた。
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