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「魔力を.....吸い取る?」
その言葉を初めて聞くかのように、ルシアは目を見開きながら言った。
ノアもあまりに驚き、「意味がわからない」と言いたげな表情をしていた。
「ええ.....。一人の男が青い石に手を伸ばした瞬間、魔力がその手に吸い込まれてしまったのです」
魔力を吸い取ることなど果たして可能なのか。
実際にノームはその状況を目の当たりにしたというが、二人は未だに信じられなかった。
そのようなことができる人物が本当にいると言うのか。
「私は彼らにとても禍々しいものを感じました。すでに私の魔力は三分の一も吸い取られていました。彼らに手を出せば、私自身の魔力全てを吸い取られてしまうかもしれない。私には、この森や、この森に住まう動物たちを守らなければならない。そう思うと、迂闊には手を出せなくて.....。ずっと、ここに動物たちと隠れていたのです」
ノームが感じた“禍々しいもの”。
それがどのようなものなのかは分からないが、大精霊である彼女がそう感じたのならば事態は深刻なのかもしれない。
「あの日以降、森がずっと怯えているのです。今の私の半分の魔力を使ってこの森を護っているのですが、ここまで怯えているとなると、きっと良くないことが起きるに違いないと思うのです」
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