第一章 白髪の魔女

1/18
前へ
/19ページ
次へ

第一章 白髪の魔女

 正確に、的確に、無駄なく、素早く。  それが魔女──ルシアの闘い方。  しかし、彼女は魔法が使えない。  彼女の髪が“白髪”であることが、何よりもその事実を象徴していた。  ───禁忌を犯した魔女の髪は、白くなる。  大昔から言い伝えられており、嘘か誠かも分からずに広まった話。しかしそれは、彼女自身によって実際に証明されることになった。  そして、その白髪を(さら)して街を歩けば、彼女に街中の視線が集まるのは当然のことだった。 「あれが噂の.....」 「禁忌を犯したって言ってたわよね.....?」 「本当に白髪だわ.....」  身を寄せ合いながら話し込む市民など気にも留めないかのように、彼女は颯爽と街中を進んでいく。  きっぱりとした足取りからは、彼女の芯の強さが垣間見える。  しかし、彼女が大勢の注目を集める理由はそれだけではなかった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加