第1章 揺れて…。

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「補習…お願いできませんか?」 「ん?いいけども…」 今日は補習の日じゃないけど、一瀬が数学準備室に入って来た。なんだか様子がいつもと違うけど。 「じゃあ、このプリント。」 「はい」 何だか…殺気だってない?何?この感じ…。 喧嘩とか?いつも内藤優香と中村と一緒にいるけど、基本誰とでも仲良いと思うんだけどな。 …。 予想通り、問題は進まない。 「一瀬、なんかあった? 話聞くけど、俺で良ければだけど。」 一瀬は、こっちがたじろぐほど 頼りない 幼い顔をして…瞬きと共に頬を涙が伝った。 どっ、どっ、どうした!!一瀬? 「すいません!補習やってって自分から言ったのに、全然…全然出来てない…数学。」 「いいよ!!そんな事!!もしかして期末の事で凹んでるのか? いいよ!大丈夫だから!!地味にコツコツだって言っただろ?」 少し驚いた顔をして、小さく首を振る。 ん?違った? ん~。どうしたもんかね。 とりあえず、お湯を沸かした。そして濃ーく入れた紅茶に牛乳を入れ、ミルクティーを作り 一瀬の前に置く。 「?」 「ミルクティー。泣いてて、脱水になりそうだから水分補給。今日は補習じゃなくて相談。」 …。 「先生…質問してもいいですか?」 「どうぞ。」 「先生…好きな人…いますか?」 「いる。」 「彼女?」 「違う…でも…もうずっと長く想ってる。」 「告白しないの?」 「今、俺の想いを伝えても 彼女を困らせると思うから…。」 「切ないね」 「まぁね…でも彼女がニコニコ幸せそうにしているのを 側で見ているだけで とりあえず俺も幸せなんだ」 「ますます切ない…でも その人幸せだな~ いつか先生の想いが伝わるといいな~」 「ありがとう。まぁ、俺の方はそんな感じ…。質問には答えられたかな」 「私は…」 「別に無理に話さなくてもいいよ」 「私は…戦う前に負けちゃった感じ…まだいいやって居心地いい所にいたら…すごい後悔。自分に腹が立って…」 「うん」 「でも…ちょっと落ち着いたかも。」 「良かった。また何かあったら、聞く。聞く事しか出来ないかもしれないけど、何でもいいから ここにこいよ。」 「ありがとうございます。プリント、家でやってきます。」 「次の補習でもいいけど。」
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