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「補習…お願いできませんか?」
「ん?いいけども…」
今日は補習の日じゃないけど、一瀬が数学準備室に入って来た。なんだか様子がいつもと違うけど。
「じゃあ、このプリント。」
「はい」
何だか…殺気だってない?何?この感じ…。
喧嘩とか?いつも内藤優香と中村と一緒にいるけど、基本誰とでも仲良いと思うんだけどな。
…。
予想通り、問題は進まない。
「一瀬、なんかあった? 話聞くけど、俺で良ければだけど。」
一瀬は、こっちがたじろぐほど 頼りない 幼い顔をして…瞬きと共に頬を涙が伝った。
どっ、どっ、どうした!!一瀬?
「すいません!補習やってって自分から言ったのに、全然…全然出来てない…数学。」
「いいよ!!そんな事!!もしかして期末の事で凹んでるのか? いいよ!大丈夫だから!!地味にコツコツだって言っただろ?」
少し驚いた顔をして、小さく首を振る。
ん?違った?
ん~。どうしたもんかね。
とりあえず、お湯を沸かした。そして濃ーく入れた紅茶に牛乳を入れ、ミルクティーを作り 一瀬の前に置く。
「?」
「ミルクティー。泣いてて、脱水になりそうだから水分補給。今日は補習じゃなくて相談。」
…。
「先生…質問してもいいですか?」
「どうぞ。」
「先生…好きな人…いますか?」
「いる。」
「彼女?」
「違う…でも…もうずっと長く想ってる。」
「告白しないの?」
「今、俺の想いを伝えても 彼女を困らせると思うから…。」
「切ないね」
「まぁね…でも彼女がニコニコ幸せそうにしているのを 側で見ているだけで とりあえず俺も幸せなんだ」
「ますます切ない…でも その人幸せだな~ いつか先生の想いが伝わるといいな~」
「ありがとう。まぁ、俺の方はそんな感じ…。質問には答えられたかな」
「私は…」
「別に無理に話さなくてもいいよ」
「私は…戦う前に負けちゃった感じ…まだいいやって居心地いい所にいたら…すごい後悔。自分に腹が立って…」
「うん」
「でも…ちょっと落ち着いたかも。」
「良かった。また何かあったら、聞く。聞く事しか出来ないかもしれないけど、何でもいいから ここにこいよ。」
「ありがとうございます。プリント、家でやってきます。」
「次の補習でもいいけど。」
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