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「願いが叶う?担い手になると、『メル』ってやつに願いを聞いてもらえるのか!?」
「正確にはそうじゃねえ」
「なんだ…」
「それなりの『対価』が必要ってこった」
「なんだよ、それ」
「これ以上は、メルに聞く方が早いだろう。どれ…クゥにメルのいる場所へ案内してもらうといい」
「え?いいのか?」
「どのみち、クゥはこれから行くところだろうからな。それに、メルのいる場所はクゥじゃないとわからん。俺ですら会おうと思って会えるもんでもないんだ」
そう言って、ダディズリーはクゥを見やりました。するとクゥは、腰に手をあてて、得意そうに言いました。
「そうよ。わたしが見つけないとね」
わきは思わず訊ねました。
「どうやって見つけるんだ?」
「それはね。わたしたち『虹の描き手』の体からは溢れた夢が光になってにじんでるんだけど、わたしにはそれがはっきり見えるの。たとえ遠くにいたとしても、それは空へと昇る光の柱となって見えるから。それを双眼鏡でね」
そう言って、クゥは肩からさげた双眼鏡をポンポンと肉球で叩きました。
「なるほど。そうやって兄ちゃんを見つけたんだな」
「えへへ」
クゥは照れくさそうです。
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