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そのようすを見ていたダディズリーが、クゥの頭に手を置いて言いました。
「クゥ、俺のところに来たのは、ただ俺を見つけたからってだけじゃあないんだろう?」
「あら、お兄ちゃんも気づいたの?」
「いや、そういうわけじゃねえが、いつもなら俺のところに来るのはもう少し先だろう。わざわざ来た理由は、こいつじゃあないのかってな?」
ダディズリーはそう言って、わきをちらっと見やりました。わきは居心地悪そうに言いました。
「なんだよ。俺がなんだって?」
「わき、実はね…あなたも『虹の描き手』みたいな光を放っているの…。わたし達に比べればほんの微かなものだけど…でも確かに、あなたからは夢が溢れてる」
クゥのまん丸の瞳が、まっすぐわきを見据えました。ダディズリーが口を開きます。
「それにな。お前ぇの話を聞いて思ったんだが、何やら不思議な方法を使ってではあるが、ここはそうほいほいと来れる場所じゃあないんだよ。『虹の描き手』のたった一人を除いてな…。まあ、それはお前ぇじゃあねえが、お前ぇもただの猫なんかじゃねえってことだろう」
「…」
わきはダディズリーの言ったことを理解しようと一生懸命考えました。でも、何がどうすればそうなるのか、さっぱり見当がつきません。ダディズリーが続けて言いました。
「とにかくメルと会ってみるといい。どのみち、俺たちじゃあ手に負えんしな」
そう言ってダディズリーは、シャボン玉の道具をしまいました。
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