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「ああ、ごめん。何か見つけた?それとも、もう着くの?」
「両方正解よ。ほら、見て」
そう言ってクゥが指し示した方を見ると、小高い丘の上に、大きくて立派な木がありました。
ここに来るまでに見たものと違って、木には枝はあっても葉がついていません。そのため、枝の向こうに星空が透けて見えます。
でもそれはなぜか、ぼんやりにじんで見えました。
そして、わきが目を留めた木の根元あたり。そこに腰掛けているのは…。
そう、一頭のユニコーンでした。
「準備はいいかしら?」
クゥが後ろを振り返り、わきへ問いかけました。わきが「準備って何の?」と聞き返さなかったのは、それがクゥの気遣いだと気づいたためです。
「ああ」
わきは短くひとこと、そう言いました。
そして二匹は丘を登り、いよいよユニコーンの近くへとやってきました。周りをよく見れば、なにか白いモコモコしたものがいくつもあって、それぞれに誰かが気持ちよさそうに眠っています。それはうさぎだったり、白鳥だったり、蛇だったりしました。
ユニコーンはといえば、先ほどから、膝の上に置いたなにかを大事そうに眺めています。
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