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Chapter 4 「必然《ひつぜん 》」
*June 3rd
梅雨の気配を感じさせない快晴だった――。
行楽日和の日曜日、僕は朝から人気の少ない図書館のエントランスホールで読書に耽っていた。
家で読めばいいのにと思う人もいるだろうが、僕は自然の音が溢れる外で読む方が断然集中出来た。
今朝は父さんが親しい同僚と隣町に遊びに行ってしまい頗る暇だった。中間テストを終え腰を据えて勉強する必要が無くなった今、僕の脳裏に浮かんだ事は"朝霧町の歴史を知りたい"といういつもの好奇心だった。
そういう訳で風土記に関する本を数冊借りて読んでいたのだが、これと言ってめぼしい情報は得られなかった。
第一、誰でも借りる事が出来る図書館で移住者がその手の本を目にする可能性があるのだから、徹底的に隠されている秘密が載っている訳が無かった。
「結局『無境』では生還した理由は分からなかったしな……」
無駄に豪奢なシャンデリアを見上げて僕は溜息をついた。
少し肩を動かすと、長時間同じ姿勢でいたせいか筋肉が凝り固まって痛い。肩を揉みつつ腕時計を確認すると長針と短針が出会う瞬間だった。
「たまには外で食べるか」
休日は軽食を作るか食べないかの二択なのだが、ぜひ出掛けてくださいと言わんばかりに和やかな空が広がっているので、たまには外食するのも悪くはないだろう。
思い立ったが吉日。せっかくだしあの日は食べる事が出来なかった『無境』の焼き鳥を食べに行くか。
最早借りる意味の無い風土記をショルダーバッグに詰めて、目が疲れる程きらびやかなエントランスホールを出た。
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