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カラの話
カラには同じ歳の兄がいた。
双子ではなく、母が違うのだ。父には妻が複数いて、同じ年にそれぞれ子供を生んだ。それだけのことだ。
砂漠と太陽の国。大国でも無かったが小国でもない、照りつける日と風に舞う砂の国。諸外国からすれば不毛な土地に住み、生きるだけで苦心惨憺せねばならぬ国に思われているだろう。だがあにはからんや、見渡す限りの砂の大地のよすがとばかりに流れる大河の恵みは大きく、農耕も牧畜も不自由なく産業として成り立ち、人々の生活の糧になっていた。
カラはその国の第二皇子にして皇后の長男でもあった。
この立場が現状、カラにはとても辛い。
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