カラの話

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お伽衆とは音楽(楽器、歌、舞踊)芸術(絵画、文学、彫刻)などで高貴な身分の憂いを払う者達であり、男女問わず気に入られ召されたならば寝室の憂いを払うこともあった。だからこそ、ホルの母はホルを生むまで誰の子かわからぬ子を使って妃となった卑しい女だと嘲られ罵られた。実際の話、皇帝の手がついた時点で周囲はホルの母から手を引いていたのだけれど、例えそれが一年以上前の事であろうと卑しい女が、卑しい男と結んで生む子に違いないと言われていたのだ。 では、子が生まれた事でその嫌がらせが引いていったのはなぜなのかと言えば、ホルが皇帝に瓜二つすぎるくらいであり、長じるにつれ頭脳明晰質実剛健といった具合に誰が見ても皇帝の理想的な子になり、生まれたばかりの頃はそれでもあった中傷も今のホルを前にすれば霞のごとく消え去るばかりであったのだ。皇帝の覚えもめでたく、外交でも注目され、今では廃するより取り入る方が己の安泰になるとばかりに男も女もホルにかしづき、皇帝の妃達も内心ではともかく、対抗するための子を生めていない現状では助けてくれるはずの親兄弟からも役に立たぬと見放され、手も足も出せず皇帝の長男へ頭を垂れるしかなかった。 ホルと父たる皇帝の違いらしい違いといえば唯一体格くらいであった。皇帝も背が高く逞しい体をしていたが、ホルはさらに大きかったのだ。カラの国では神とは人より一回りも二回りも大きい、人と似た存在とされていたから平均より大きな皇帝は正しく神が選んだ代弁者、ひいては神の子であると敬われ、その皇帝に瓜二つながらさらに大きいホルは益々畏れられ敬われた。 対してのカラはどうか。     
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