君を構成する様々な物事

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   私はその言葉を聞いて、思わず息を止めた。  ふと菜々が私の顔を見上げる。その瞳に悲しみの色はない。〝お花屋さんになるためにもっとがんばる〟という決意だけがそこにある。  菜々の言葉にそれ以上の意味はない。  だからこそ、余計につらくなる。 「そっか……」  なんの言い訳にもならない呟きが漏れ、地に落ちた。瞬間、自分の不甲斐なさに押しつぶされそうになった。  たった四冊の本を買ってやることもできない。  そんな自分が、情けなくてたまらない。  〝お誕生日、何が欲しい?〟――そう言うと、菜々は小さな本屋の隅っこへと走り、一冊の本を選んだ。  菜々の一番好きな季節(はる)の本。四巻セットの一冊だけ。タイトルの下に書かれた〝おはなずかん1〟の文字が、無言のまま私を責めているように感じた。  菜々は何も言わないから。  私はいつも、静かに自分を責めることしかできない。 「ごめんね」  私はそう呟くと、菜々の肩を引き寄せた。  その顔は見えなかったが、菜々は私の腕の中でもぞもぞと動いた。 「何? ママ、どうしたの? 何か悲しいことあった?」 「……ないよ。なんでもないよ。ごめんね」  
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