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「そういうのは、大丈夫みたい。ちゃんとした造りなのよ。きっと」
ちゃんとした造りがどんなものか全く分からなかったが、僕は取り敢えず「ふうん」と頷いておいた。
「バックアップって僕に関する何かなの?」
僕は彼女に聞いてみる。
「そうよ。あなたはだんだん無くなってしまうから、猫にバックアップを取っておくの」
「猫?猫はハードディスクじゃないよ」
「そうね。だけど、ハードディスクにあなたを仕舞うのもちょっと難しそうじゃない?」
「そう言えばそうだね」
「猫がちょうどいいのよ」
「そうなんだ」
なぜ、猫がちょうど良いのか、バックアップは一人に対して一匹の猫なのか、そんな事が少しだけ気になったけれど、何だかどうでもいいような気がして質問するのを止めた。
だって、もう既に僕の失踪から七日目だ。
右側の耳も左側の目玉も抜け落ち、僕の感覚は大体半分になってしまった。
おまけに、朝から頭の中も霧がかかった様にボンヤリしている。
僕の予想では、夜中に脳みその大半は床に吸い込まれてしまったのではないだろうか。
僕が眠っているうちに。
この部屋の事で、もう一つ。
ここに来てから、僕は異常に良く眠れた。
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