第1話 悲劇の始まり 

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私、ちょっと浮かれていたのよ。誕生日の前日になると、いや、一週間まえくらいからかしらね。いつもそうなってしまうの。 幸い、私は友達に恵まれていたから、誕生日はとってもとっても盛大にお祝いしてもらっていた。もちろん、それをしっかり返すわけだけどね(馬鹿にできない額だったわ)。 その日も、明日は何がもらえるんだろう、と想像するだけで楽しくて、なかなか寝付けなくてね。私の家族はみんな10時にはベッドに入るんだけど、私はその日、眠れなかった。どうしても眠れないから、しょうがないか、そう思って、私は一度ベッドから出ることにしたの。 そしたらそのとき、「グウウウウウウウ」て、気の抜けるような音がしてね。思わず、私の両親、飛び起きたの。信じられる?隣の部屋にいた2人ともが、私のおなかの音で起きるなんて。 そのとき両親は、私のために何か作ろうって言ってくれた。でも、「私もう18になるのよ。もう大人なんだから!料理くらいできるわ。」って言って、久しぶりに何を作ろうか、眠い目をこすりながら考えていたわね。 「眠い目をこすりながら?」僕は尋ねた。 そう。おかしいでしょ?私はなかなか寝付けなかったはずなのに、なぜか何の料理を作ろうか考え始めたときにはもう眠くなってたの。きっと料理とは縁がないのね。でも相変わらずおなかは減っているし、両親には自分で作るって言ってしまったし、「えいやっ」て気合を振り絞って、何とか起きたわ。今思えば、これが悲劇の始まりね。
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