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付き合ってあげるとは言ったものの、どうしようかな……。
テントから出て、太陽の下を歩きながら俺は思う。
女の子の行きたい場所ってどこだろう……映画とか? ショッピングモール……は、死人だから買い物はありえない、か……え~と……夏っていえば、プールだけど……う~ん……。
思って見上げれば、雲一つない夏空。容赦なく降り注ぐ日差しを手で遮り、真っ青な空に目を細める。太陽は、上からも下からも熱を与えてくれる。首筋を伝わって流れる汗に、体感温度を口にせずにはいられなかった。
「暑……」
『くっついてあげよっか? 涼しくなるかもよ?』
俺はぞぞっとした右側に、ぎょっとした。見下ろせば、にこにこ笑った幽霊が隣に立っていた。
『やめてくれっ。冗談じゃないっ』
『またまた~。照れ屋さんなんだから~』
ひょいっと俺に身を寄せてくる。横から冷水を浴びせられたような感触に襲われ、俺は叫んでしまった。
「わあっっ」
『きゃあっっ』
弾みで転がりそうになったが、俺は何とか持ちこたえた。だが、幽霊は派手に路面に転がった。
『いたたた……うう……幽霊になったのに、痛いってどういうこと……? あいたたたた……』
『どうしたの? いったい……?』
『それはこっちが聞きたいわよ。突き抜けるかと思ったら、まさかの壁。閉まっている自動ドアにぶつかった感じ……いたたた……』
『あ。そっか。俺、能力者だから、取り憑かれないんだ』
『え? 能力者? なにそれ?』
『超能力みたいなものに除霊能力が加わっている…って言えばいいのかな、特別な力があるんだ、俺』
『げ。もしかしたら、あたし消えちゃうところだった?』
『かもね。良かったね。弾かれただけで』
『除霊能力があるならはじめに言ってよ~。[幽霊が視えるのに苦手]なんて言うから、からかう気、満々だったのに~』
『しょうがないだろ。お化けが嫌いなのは昔からだけど、視えるようになったの最近だし、特殊能力があるって知ったのも最近なんだから』
言いながら、手を差し出してしまった。俺の手のひらを見て、俺の顔を見つめる幽霊。むっとした表情に、あ…と思う。
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