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『残念。それは無理だよ』
拳を作ったあたしに、天使は苦笑する。
『だって、キミは普通に寿命が尽きたんだから』
『はあ? どういうこと?』
『これからキミが行く天界には、神様はいないけど、それに近い役職の人はいる。だけど、彼らが関わるのは重要案件だけで、下っ端のボクには回ってこない案件なんだ』
『……なによ、案件って? 会社の書類仕事みたいじゃない』
『似たようなものだね。ボクの格好見て、わかるでしょ?』
…………。
あたしは歩みを止め、天使の姿を上から下へと眺め回した。
『ふ~ん……。じゃあ、[下っ端の営業マン]が[会長]に会うにはどんな手続きが必要なわけ?』
『あ~……。実際やったことないからよく知らないけど……』
頭を掻きながら、天使は唸る。
『直属の上司にお願いして承認がもらえたら、担当替えになる……んだと思う。けど、承認は下りないだろうね』
『なんで?』
『だって、普通の死者の恨み言なんかいちいち聞いてたらキリがないじゃない。まあ、どうしてもって言うなら上司に掛け合ってみるけど、ボクと一緒に説教聞く羽目になるよ』
☆ うわ、ウザすぎる。文句を言って憂さ晴らしするどころか、小言をもらってストレスが溜まりそう。
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