大団円で、ふわり

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 エレベーターの前に向かえば、幽霊はそこにいた。俺と目を合わせ、えへへと笑う。 『『大成功~』』  指二本を立ててピースサインを作り、プリンの入っているビニール袋を掲げる。 『ところで、これどうしたらいい?』 『五樹くんにあげる』 『ありがと。じゃ、食べるよ』  エレベーターのボタンを押し、待っている間にプリンを取り出す。このまま下げて持ち帰るのは嫌なので、この場で食べてしまいたかった。けれど、袋を逆さまにしてもスプーンが出てこない。 『……スプーンがない……』 『え? まさか、ここで食べようとしてる?!』 『悪い? 冷蔵庫に入っていなかったから冷たくないけど、美味しい状態で食べたいじゃん。炎天下の中持ち帰るなんてできないよ』  スプーンがない時のプリンの食べ方は…………。  俺は蓋を取る前のプリンをじっと眺め、ひらめいた。上下に強くシェイク、振って振って振りまくるっ。 『ちょっ、何してるのっ?!』  ぎょっとされたが、俺は構わず、シェイクし終えたプリンの蓋を少し開けるとそこに口をつけた。 『え~? そんな食べ方ってあり~?』 『飲むプリンがあるんだから、そんなに驚くことじゃないでしょ』 『そうだけどさ~。お行儀悪いよ~。誰かに見られたらどうすんの~?』 『大丈夫だって。誰かに見られる前に飲み込めるから』  プリンを吸い終えた俺は、空になった容器をビニール袋に入れ、ちょうど到着したエレベーターに乗る。幽霊もついてくる。 『五樹くんって細かいところが子どもだよね……。きゃあきゃあ騒がれない理由がわかった気がする……』
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