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「あのさ……。気のせいかな。さっきからこっちを見てる幽霊がいるんだけど」
「あら。うふふ、気づいちゃった?」
笑う母さんに、アレは本物なのだとぎょっとし、さらに女の子に向かって手招きする姿に俺はあわてた。
「は?! なにしてるんだよ?!」
「一人きりじゃ寂しそうじゃない? だから、お招きしてるの」
「はあ?! なに考えて……っ」
『えっと、あの、あたしが視えてるんですか?』
「うわあっ」
俺と母さんの間に、すっと入った幽霊に、俺は飛び退った。
「五樹、ちょっとうるさいわよ。大げさなんだから、もう」
周りからの視線に気づき、頭を下げつつ、元いた場所と反対側、幽霊のいない位置に立ち直す。
「ごめんなさいね。この子、幽霊が怖いんですって」
……怖いんじゃなくて、苦手……。
『えっと、おばさんは怖くないんですか?』
「うふふ。私はね、慣れているから大丈夫。ところで、天馬くんと一緒じゃないの?」
『テンマ……? …って、ああ、翼の生えたおにーさんですか? うん。蹴っ飛ばしてきちゃった』
普通に会話を始めた二人。
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