惨劇・ワンウッド傭兵隊編・捕縛

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第1階層・ワンウッド傭兵隊 通常の新規発生ダンジョンでは有り得ない呪い付きの武器が納められた宝箱とそれによって生じた損害、それらの事態は何食わぬ様子を装いながら進む下級幕僚とワンウッド傭兵隊の胸の奥底で微かな疑念や警鐘として燻り続けており、その燻りは有り得る筈の無い光景、スキャニングの結果によれば存在する筈の無い三叉路の出現によって更に大きな物へと変化させられてしまう。 「三叉路、だと?どう言う事だっ!?スキャニングの結果だとこのダンジョンは一本道だろうがっ!?」 「そ、そんな馬鹿な確かにスキャニングの結果は一本道だった筈だっ!?」 三叉路を目にした隊長が張り上げた怒声がダンジョンに木霊する中、泡を食った魔導士が再びスキャニングを行ったがその結果はダンジョンに入る前に行ったスキャニングの結果と同じ単純な一本道のダンジョンと言う結果であり、狼狽える魔導士からその結果を知らされた隊長は更に熱り立ちながら怒声を張り上げる。 「スキャニングの結果は一本道のダンジョンだとっ!?ふざけるなっ!!お前は目の前にある三叉路が見えんのかっ?ああっ!!」 「……ま、待てっ、ま、前から何か来るぞっ!?」 隊長が怒声を張り上げていると下級幕僚が三叉路の方から一団の影が近付いてくるのに気付いて微かに戦きながら声をあげ、それを受けた隊長や傭兵達が前方に視線を向けると一団の影は病的な程青白い顔色をしたロジナ候国軍の軍装を纏う兵士達の姿となった。 青白い顔色をした兵士達は無表情のままワンウッド傭兵隊に向けて行進し続け、その異様な光景を目にした隊長は思わず数歩後退りながら掠れた声をあげた。 「……そ、捜索隊の連中だな」 「……あ、ああ、コイツ等は全滅させられたんだ、こ、このダンジョンに」 隊長の呟きを聞いた下級幕僚は顔を青ざめさせながら言葉を絞り出し、2人の様子を目にした傭兵達の間に動揺が走っているのに気付いた隊長は狼狽えた自身にも喝を入れる為に殊更に怒号を張り上げた。 「貴様等ビビッてんじゃねえっ!!無気味な成りしてても所詮アイツ等はゾンビやなんやかやの下級アンデッドでしかねえっ!!俺等にとっちゃっ単なる雑魚だっ隊列整えてさっさと蹴散らしちまえっ!!」
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