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古い映画
「女にはね、いつも側にいてくれる人が一番なの。銀ちゃんいてくれないじゃない。」
「後悔するぞ。」
「するわよきっと。でも、さよなら。」
「勝手にしろ。」
元女優に、売れない男優が、気まぐれのように贈ったダイアモンドの指輪とプロポーズ。
階段落ちの映画セットで体を支え、元女優は震える指で指輪を返す。
きっと、この古い日本映画をレンタルするのは、私だけじゃないだろうか。
間抜けな位明るいシーンのパッケージ。
おそらく、レンタルショップの《 店員一押しコーナー》にディスプレイされたことはなく、いつも、同じ場所で、ひっそり背を向け並んでいる。
元女優が
「久しぶり。そろそろ来るんじゃないかと思ってた。」
優しくささやきかける。
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