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サーファーとの恋は、男から預かっていたカローラのキーを、男の部屋に立て掛けられていた古いサーフボードのフィンにぶら下げ、その隣に飾っていたブルーファンタジーのドライフラワーを持ち帰る事で、終わってしまった。
男と別れた瞬間から、後悔の波は、大きくなったり、小さくなったりしながら打ち寄せ続けたが、引き返すことはしなかった。
側にいてくれた夫は優しく、穏やかで、根気強く私を支えてくれている。
新たな家族も生まれた。
仕事にも熱中した。
順調で幸せだと思いながら、ふと鏡を見ると、化粧気のない私が映る。
決して束ねたことのなかったストレートの髪を、この頃はバレッタで束ねている。
もう恋なんて、できない。
待ち続けただけの思い出さえ、いとおしい。
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