岐路

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岐路

 料理も掃除も慣れれば、それほど難しいことはない  ただ、定期的にやらなければならない、というところに面倒だと思う。  同居人の大学もそろそろ終わるという。  一人になっても生活できるから、もう大丈夫。  ただ、本当に独りになると思うと寂しいと思う。 「さてと、今夜は何をつくるかな?」  冷蔵庫を開けてみると微妙な材料。野菜は刻んでスープとチャーハンにしようか。  ついでに休日前だから、ビールを飲むのもいいかもしれない。  となると、なにかつまめるものも欲しい。  常温保管棚を除くと、クラッカーが目に入る。 「チーズとクラッカーそのまま食べるか」  今日は遥人のほうが帰りが遅い。  平日にしては珍しいけれど、大学のつき合いもあるだろう。  聞いたことはないけれど、もしかしたら彼女とデートをしている可能性もある。  それなら、一人分の食事でいいのだけど……。 「遥人から連絡がこない。食べるのかどうかわからないじゃないか」  知らず知らずのうちに、そんな言葉が零れていた。  自然と同居していくうちに決まったルールがある。  ひとつ、二人で食事をすること。これは誠二の作った料理を指導してもらうため。     
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