岐路

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 ふたつ、食事がいらないときは連絡を入れる。  みっつ、そのほかの家事は分担する。そして定期的に分担を交代する。  おかげで誠二は生活力のある男性に生まれ変わった。  ただし、細かいところは気にしないという前提で。  そんなことを話したら遥人は、思いっきり笑った。 『誠二さんらしいですね。いやでもその程度で本当にいいんですよ。これからまた新たな出会いがあって結婚するなら、相手の方もそのくらいが楽ですから』  その笑顔が誠二には眩しかった。  まだ若いからこそ未来に期待できる。  いや、ちがうな。俺は裏切られることから逃げたんだ。  これからは恋人も結婚するような相手も、いらない。  だからこそ生活するうえで必要なことを、遥人から教えてもらった。  卒業が近い遥人とは近々、話し合いをしなければいけないだろう。  遥人も社会人として生きていくことになるんだ。  一人ではこのマンションは広すぎる。  ここを売りに出して、一人用のマンションに移り住もうと決めていた。  そんなことをつらつらと考えながら、チャーハンとスープが出来上がった。  見た目は気にしないで欲しい。  遥人からは美味しいと評価された料理なのだから。     
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