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時の木
僕は今お気に入りの場所、大きな桜の木の下に来ている。
ここは山奥なので人は一人もいない。
実際僕も適当に歩いていたらここについたのだ。
「こんにちは」
木の裏から声がする。
僕以外にも誰かいたようだ。
「こんにちは」
「なんでこんな時間にいるの?今日は、中学の卒業式でしょう」
「午前中に終わったよ。あんたは」
「あなたねぇ、私が年上だったらどうするの?」
「すぐに敬語に切り替える」
「残念、私はあなたと同じ卒業生だよ」
何なんだこいつは、頭が痛くなってくる。
「名前を教えてくれない」
「なぜ初対面の人に教えなきゃいけない」
「いいから」
「……」
「樹下誠」
「ふーん」
「自分から聞いといてなんだその反応は」
「私は十時歩夢」
そよ風が二人を撫でる。
「よろしく」
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