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当時、私は男性が多い職場という事もあり、それなりにモテて、チヤホヤされた青春時代を送っていた。
だから、当時から無口で冴えない男だった夫、純ちゃんは、私の眼中には、全く入っていなかった。
それが変わったのは、私が24歳の時。
その日、私は、2年間付き合ったイケメンの彼氏に振られ、大失恋をした。
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「原田さん、大丈夫ですか?」
原田は、私の旧姓。
仕事中、向かいの席から、喜多見さんに小さな声で話し掛けられた。
喜多見さんは、普段から無口で、必要な事以外、ほとんど喋らない。
仕事以外で話し掛けられたのは、多分、これが初めてだった。
「何がですか?」
私がイライラしながら答えると、彼は
「いえ、なんだか辛そうに見えたので。俺でよければ、話を聞きますよ」
と心配そうな顔で言う。
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