馴れ初め

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すると、その週末は会えないと言ってたはずの喜多見さんから、返信が届いた。 『土曜、休日出勤なんですが、夜だけでも会えませんか?』 掛かった!! 私は魚を釣り上げる漁師さんの気分だった。 あとは、慌てず、リールを巻くだけ。 当時、私は、純朴な彼よりも、年下の私の方が恋愛経験値は上だと思っていた。 何年も彼女がいなさそうな彼。 常にほぼ途切れることなく、彼がいる私。 多分、過去の恋人の数は、私の方が多い。 それでも、週末、彼は、朴訥(ぼくとつ)とした話し方でたどたどしく告白をしてくれた。 私はにっこり微笑んで、それを受けた。 その後は、早かった。 4ヶ月後、仕事の愚痴を零す私に彼は、 「仕事、辞める?」 と聞いてきた。思わず、 「は? 辞めたいけど、無理でしょ?」 と言うと、 「辞めていいよ。結婚しない?」 と彼は言った。 だから、私は、彼との結婚を決めて、寿退社をした。
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