不妊

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不妊

・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・      不   妊 ・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ 私は、子供の頃から、子だくさんの肝っ玉母さんになるのが夢だった。 だけど、結婚して2年経っても、子供ができない。 27歳の時、私たちは産婦人科の不妊外来を訪れた。 検査の結果、純ちゃんの精子の数が少ないと言われた。 煙草も吸わない。 お酒も月に1~2回、付き合いがある時だけ。 家では晩酌もしない。 ギャンブルもせず、堅実に働く。 女にもモテないから、浮気もしない。 理想の旦那様だと思ってたのに、そんな落とし穴があるなんて…… それから、私たちは、産婦人科に通うようになった。 けれど、不妊治療は、そんなに簡単なものじゃない。 人工授精から、体外受精、顕微受精へと進んでいく。 月に何度も病院へ通い、何本も注射を打ち、全身麻酔で採卵をし、それでも、期待するような受精卵は、毎回1〜2個しかできない。 その1個を体内に戻して、着床を待つ。 今度こそ。 今度こそ。 毎回、そう思って、お腹にいるかもしれない赤ちゃんのために、出来るだけ静かに過ごす。 けれど、神様は無情で、そんな私の望みを、あっさりと打ち砕く。 下着に付いた赤い染み、ただそれだけで。 私は、子供が欲しくて、欲しくて、生理が来るたびに、純ちゃんに隠れて泣いた。 純ちゃんのせいじゃない。 だけど、純ちゃんの前で泣いたら、彼はきっと自分を責める。 両親にも言えない。 私が泣くのを見たら、純ちゃんのせいだと思うかもしれない。 だから、私は誰にも言えずに、ひとりで毎月泣いた。
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