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純ちゃんがアイスを買ってきてくれた。
おやつによく食べるラクトアイスじゃなくて、違うショーケースに入ってる高級アイスクリーム。
夕食後に三種類のアイスを並べて、
「咲笑、どれがいい?」
と純ちゃんが私の顔を覗き込む。
「私、チョコの」
苑が先に答える。
すると、それを純ちゃんが制止する。
「ダメ! お母さんが先!」
「えー!?」
当然、苑は、不満顔だ。
なんで?
純ちゃん、他に好きな人がいるんでしょ?
浮気をごまかすため?
バレてないと思ってるの?
私はストロベリー味を選んで、無言で食べた。
今、口を開いたら、泣いてしまいそうだから。
すると、純ちゃんは心配そうに私の顔を覗き込む。
「咲笑、どうした?
具合、悪い?
何かあった?」
ダメ。
他に好きな人がいるくせに、私に優しい言葉なんて掛けないで。
「苑!
アイス持って、2階へ行ってて」
純ちゃんが言った。
「はーい」
苑は素直に階段を上っていく。
その足音を聞いて、純ちゃんは、私の肩を抱いた。
「咲笑、どうした?」
私は無言で首を横に振った。
胸が苦しい。
純ちゃんが優しいから。
「咲笑? 言って?
言ってくれなきゃ、分かんないよ。
何があった?」
私は無言で首を横に振るしかできない。
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