プロット_「異世界? いかねぇよ」①

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放課後になってもノイエからの勧誘は続く 「今の暮らしはつまらないでしょう?」 「面白くはねぇな」 「そりゃそうですよ、なんたって――」 着信 幼馴染のレイナから連絡 「今から会えない?」 「どうしたんだよ突然」 「久々に話したくなってさ」 自宅近くのマックで待ち合わせ 「変わんないねぇ」 「それが取り柄だ」 「普通人は変わるものだよ?」 「俺は変わらねぇ、俺は俺の筋を通すだけだ」 「堅物だなぁ」 注文を済ませてテーブルへ 「学校どう?」 「普通」 「あなたが「普通」って言うときはいつだってつまらないって時だよ」 昔からの馴染みである程度見透かされてる。 「別に最初から面白いと思って行ったわけじゃねーし」 「じゃあなんであの学校にしたの?」 「無難そうだったから」 「ふーん……」 「話変わるんだけどさ、あたし告られたんだよね」 「まじか、で、なんて返事したの?」 「OKした」 ずしん、何か重苦しいものを感じた。 俺からすれば、正直特別目の前の幼馴染がどうなろうが構わない。 犯罪の被害者や加害者になるとか病気で危篤になるとか、そんな風になんなきゃどうなったっていいんだ。 幼馴染でも他人は他人、こいつがどうなろうが俺の今は変わらない。 けれども今、俺はこう思ってしまった。 「早くこいつと別れたい。「またな」とか言ってこの場を終いにしたい」 こいつが掴もうとしている幸せが、酷く恨めしく思えてしまった。 「まぁ、末永くお幸せにな」 「止めないんだ」 「他人の幸せぶち壊すほど俺は外道じゃない」 「幸せの椅子は平等に与えられてる訳じゃないんだよ?」 「それでも、誰かの幸せ踏みつぶして得る幸せに価値なんかねぇよ」 「……そっか、あなたらしいね」 お店の前で別れる。 ノイエがまた出てくる。 「このままでいいんですか?」 「別に何も変える必要無いだろ?」 「……まぁ、そうですね」 小声でノイエが呟く 「もともとこっちで変えられるような方じゃありませんからね」 憂鬱な気分で帰路に就く。 朝から妙な奴に絡まれっぱなしだし 先公には怒られるし 幼馴染のリア充報告聞かされるし 散々だな俺…… 「異世界に行けばそんな憂鬱無くなりますよ?」 「いかねぇよ、異世界なんて」 「なんでですか? なんでそこまでこっちの世界にこだわるんですか?」 「少なくとも現実には家があって、そこにはそこそこ旨いメシと風呂と布団が与えられているからな」
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