第1話2

7/16
前へ
/16ページ
次へ
夜中に又父さんの声が響いてた。何時だろう、あんまり、おっきな声だすと明日又母さんが謝って回る。 父さん何て大っ嫌いだ。涙が溢れてきた。父さんは又母さんを苛めてるの。 もぅ~止めてよ!母さんが可愛そうだ!父さんの声を聞くと涙が流れた。 母さんは痛い筈なのに声1つ出さない。僕の方が痛くなってきた。痛くて涙が凄く出て、しゃっくりが出る頃には鼻水も涙と一緒に流れて布団に落ちた。 もう僕は我慢できなかった。布団から出ると襖を開けた。蛍光灯の下に父さんと母さんが向かい合って座ってた。 僕が襖(ふすま)を開けた大きな音で2人が僕の方を向いた母さんの頬っぺたが赤かった。 何時も綺麗にしてる髪がボサボサしてる。振り返った父さんの顔は又酔って真っ赤に成ってた。 何時ものお酒を飲んでだらしなく開いた口元、真っ赤に成った顔、ドロンとした目。 母さんの後ろに鍋とか箸とか割れた皿なんかが散らばってた。母さんの前に行って父さんを睨んだ。 今迄思ってた言葉が溢れ出た。 「もぅ~嫌だ!お前なんか出ていけ!」 「明人!」 母さんが腕を掴んだ。父さんの目はビックリして僕を見ていた。 「明人、直ぐ父さんに謝りなさい」 もう母さんの言葉なんか聞こえなかった。 「お前なんか僕の父さんじゃない出ていけ!母さんばっかり苛めて!出てけ!」 僕の体が震えてた。僕の腕を掴んでた母さんの手も震えてた。父さんが立ち上がった。 「あんたっダメだよ?」 母さんが僕を自分の背中に回した。 「出てく・・・る」 「あんたっ何言ってるのこんな夜中に何処に行くって言うの明人は寝ぼけてるのよ、親に向かってあんな事言う子供じゃ無いんだから」 母さんは何でこんな奴を止めるの?出て行けば良いんだ。僕は父さんをずっと睨んでた。 出ていこうとする父さんの腕を掴んだ母さんが何か話してた。母さんが何か謝ってた。何でだよ? 次の瞬間父さんの腕を掴んでた母さんが振り払おうとした父さんの腕から手が離れ後ろに有った流しの縁にぶつかり額にツ~と赤い血が流れてきた。 「母さんっ!」 僕は母さんの所に飛んでいった。      
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加