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学生だった頃の琢磨は、真っ直ぐな目で私を見てくれていた。
その瞳に惹かれて彼と付き合い始めたのに。
彼は、仕事を始めてから変わった。
いや、環境が変わったから、今は職場に慣れるので精一杯で余裕が無いだけなのだ。
と、思おうとしても、やはり、あの頃とは違うのだと感じてしまう。
まだ、あれからたった半年しか経ってないのに…。
「そう言えば、俺、所属が決まったから」
「あ、そうなの?どこどこ?」
「企画課」
「そうなのね。良かったじゃない、興味あるって言ってたもんね?」
「ま、ね。でも…」
「でも、何?」
「いや…、何でもないよ」
「そう?じゃあ、今夜はお祝いだね」
久しぶりに会えた週末だ。
私は取って置きのワインを抜いた。
「カンパイ」
「カンパーイ」
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