序章ー世界は何の為にあるー

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少年は【魔王】と聞いても、さして驚かずに次の言葉を模索する。 『それで、魔王とやらが俺に何の用だ?』 単純に質問を続けるグレイに、【魔王】は"現在"では【魔王】の畏怖は無いに等しいのかと落胆した。 しかしもう一つの可能性、相手が【魔王】と知りながら態度を変えないこの少年の傲慢さ。 『我に用があるのはお前だろう』 『あ?俺が?』 『死の縁で何を願った?』 【魔王】の言葉に、グレイは直前の記憶を思い返す。 『あぁ、願ったんじゃねぇ。決意したんだ。あの"クソども"を皆殺しにしてやるとな』 『クソども?』 『転生者だ』 答えるグレイの瞳は、おぞましい程の憎しみに満ちていた。 『何故そこまで嫌う?』 『逆に聞くが、てめぇが生きる為に懸命に耕し作物を育てている畑を誰とも知らねぇ奴が踏み荒らしたり、頼んでもいねぇのに勝手に作物を植え付けられて、あんたは腹がたたねぇのか?』 グレイは質問を返すが、続ける。 『あの"クソども"は俺の手で駆除してやらなきゃ気がすまねぇ、、、』 グレイはギリギリと歯を食いしばり、その憎悪を剥き出しにしている。 【魔王】はグレイの負の感情たる憎悪に歓喜した。 負の感情なればこそ、能力の開花は目覚ましいモノとなる。 『なれば、力を求めたか。運の良いガキだ』 言うが早いか、グレイから『あんたの力を俺にってんならいらねぇ』と返された。 転生者とは絶望を具現化したような能力を有し、天変地異を普通だと言わしめる連中だ。 それを前にして、戦う力を拒絶する。 『己の能力のみで倒せると豪語するか。傲慢も極めれば愚の骨頂だ』 『勝てるとかそういう話じゃあねぇんだよ。あんたから力を借りて、仮に奴等を始末できても、それじゃあ奴等と同列のクズだ』 言い切る様、その瞳はそれでも"負ける"とは語っていなかった。
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