序章ー世界は何の為にあるー

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『【魔王】に子孫がいたなんて聞いた事がねぇし、何より俺は"人間"だ』 そもそも【魔王】とは、数百年に一度突如として現れる魔物達の王だ。 グレイの知る最近になって現れた【魔王】は、200年前に勇者によって滅ぼされた。 伝承によれば、その【魔王】はオーランドコングの変異種であったと言われている。 その他にも【魔王】と呼ばれた魔物はいたが、その全てが魔物であり、人間が生まれる事など有り得ないのである。 『我は1000年前に5人の勇者により封印された。元人間の【魔王】だ』 グレイの思考を察した【魔王】が答えを返す。 本来であれば信じられないような話であるが、グレイは『なるほど』と考察する。 『【魔王】とは敬称。力を持つ奴が名乗ればそうなる、と』 『察しがいいな。グレイ』 『つまりあんたはやられる前にどこかの女に子種を植え付け、その子孫が俺である。という事か?』 『お前だけとは限らん。1000年もあれば増えもする』 つまりは、グレイだけが能力の正統後継者ではないという事。 『それで?能力はどうすれば発動する?』 『いいのか?』 『いいさ。そもそも継承される物であるなら、存分に使わせてもらう』 早くしろと言わんばかりに目をギラリと光らせるグレイ。 『まず、我には能力が7つあった』 『あった』という事は、現在は無くなったという意味だ。 『忌々しいあの勇者どもに能力を一つ一つ封印されてな。保持できたのは2つ、故にお前に継承された能力も2つだ』 『封印されたって事はどこかにあるのか?』 『そうだ。この世界のどこかにある。一つは最近になって位置が分かるようになった。後は知らん。封印されたままか、我の子孫が手に入れたか』 『俺が集める事は可能なのか?』 『可能だ』 グレイは『ふむ』と頷く。 1000年前の伝承は童話にて聞いた覚えがあった。 その【魔王】、まさに"天災"であったと。
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