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「そういうことだな。今の段階では到底特定できていないし、とりあえず続けて調べはするけれど今後も難しいだろうなぁ」
「……いいです。犯人捜しは」
坂本先生の鋭い眼差しが私に刺さる。
「正直に言うと、学校側も犯人捜しには乗り気じゃない。見つかったところで、お前たちのパネルが元通りになるわけでもないしな」
そうは言うけれど、本音はきっと学校としては面倒事にしたくないといったところだろう。
先生がチラッと腕時計を見る。
「で、ここからが本題だ。直前まで迫った体育祭の日程はもう動かせない。だったらどうするか、というのを職員会議で話し合っていた。結論から伝えると、今年度のパネルの審査は中止が決定した。展示については検討中だが、現段階ではそれも難しそうだ。これについては放課後また話し合って……」
俯いていた顔を一気に上げる。
「今、中止って言いました?」
「ああ言った」
「全クラス……ですか?」
「そうだ。これから他の責任者にも各担任が伝える」
「ちょっと待って……待ってください。どうして中止なんですか? 中止なんて、そんなの勝手すぎるっ。一体、だれが決めたんですか」
私の声が職員室の中を突き抜けた。
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