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青空の下で
クラスメイトが抜けてしまった作業場は、より一層気まずい雰囲気に包まれた。
「ごめん。ほんまにごめん。……つい感情的になった。呼び止めなあかんかったのに、あー火に油注いでどうするんや」
陽が宙を仰いで、長く大きな息を吐く。
肩を落とす陽に対して何を言えばいいのか分からなかった。「大丈夫だよ」「何とかなるよ」――口では何とでも言える。でも無責任にそんな言葉を発することはできなかった。
一体何が「大丈夫」で、何が「何とかなる」のか。何も大丈夫じゃない。こんな最悪な状況を目の当たりにして、何とかなるなんて、そう思えるほど楽観的にはなれない。
「ごめんな。明日また話してみるわ。とりあえず戻ろや」
陽が私の肩を軽く叩き、作業場へ戻って行く。
私に心配かけまいと無理に笑顔を取り繕っていたけれど、その表情は明らかに曇っていた。
それは他のみんなも同じだった。
人数が減った修復作業はさらに進度が落ちて、結果ほとんど進まないまま終了する。
日を跨いでも状況は決して変わらなかった。そもそも時間が解決してくれるような問題ではない。変わらないどころか悪化しているようにも見えた。
完全に2つに分裂した教室内を嫌な空気が立ち込める。
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