青空の下で

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「諦めたほうがいいんじゃない?」  ふと頭の中で声が蘇る。  昨日、最後まで作業を手伝ってくれた真柴さんが俯きながら呟いた言葉。 「明日からも、この空気で作業なのかなぁ」 「しっ。聞こえるよ」  気を遣って面と向かっては言わないけれど、クラスメイトのヒソヒソ話。 「3組、すごい修羅場だったよ」 「ていうかさ、もしかしたら3組のせいで今年のパネル審査中止になるかもって」 「マジかよ。超迷惑じゃん」  周囲の面白がる声や排除しようとする声。  様々な声が入り混じって頭の中を駆け巡る。  放課後が差し迫っている。数時間後にはまた体育館へ赴かなきゃならない。  昨日と同じでは駄目。分かっている。昨日と同じ作業内容や作業効率では、他のみんなも見切りをつける。  だから昨夜からずっと考えている。もっといい方法はないのか。効率よくあのパネルを直せる方法はないのか。  ――でも、ちっとも思い浮かばない。  机の上に突っ伏して溜め息を吐く。  やっぱり無謀なのだろうか。直すことなんてできないのだろうか。  及川先生も言っていた。元通りの綺麗な状態に直すなんて不可能だと。  私も本当は頭の中では分かっている。あと数日で、綺麗さっぱり元通りなんてそんな上手い話――。  突っ伏していた顔を上げて勢いよく立ち上がると、引いた椅子が大きな音を立てる。倒れそうになった椅子を慌てて支える私を、みんなが注目して見ていた。
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