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頭の中をフラッシュバックする。
ドキドキしながらはじめて見せた原画を見せた時、みんなが真剣にアドバイスをくれたこと。
陽が心配して電話をくれた夜のこと。
私がいない間にクラスのみんながパネルの水張りを終わらせてくれた作業初日。
三好さんたちが謝罪してくれた朝。
部活生が練習の合間に顔を覗かせてくれた放課後。差し入れを持って来てくれた土日の休憩時間。
作業の合間の他愛無いお喋り。
出来上がっていくパネルを見て綻ぶ顔。
1日の終わりに、達成感に溢れながら交わした励ましの言葉。
そして――昨日の朝。悔しくて悲しくて、顔を歪ませたみんなの姿。
「ねえ、覚えてる? 私がパネル責任者になった日のこと」
「……覚えとる。俺が推薦した」
陽が苦笑いを浮かべる。まるで私を推薦したことを後悔しているみたいな表情だ。
「あの日、陽がみんなに言ったよね。私の描いた絵で、みんなでパネルを作って、体育祭の日に青空の下で見ようって」
あの日の記憶が蘇る。あの時、陽は反対するみんなに対して、一つ一つの言葉を一生懸命に伝えてくれた。それが凄く照れ臭くて、でも凄く嬉しかったのを覚えている。
「今は、私も同じことを思ってる。誰よりも私が、体育祭の日に、青空の下で3組のパネルが一緒に並ぶところを見たいの。良い思い出にしたいの」
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