青空の下で

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「やると決まったら作戦会議やな」 「うん」 「まずは何からしたらいい?」 「ちょっとこれ見て」  向き合った陽との間に写真を広げた。全部で36枚ある。1枚ずつ全部のベニヤ板を撮影してあった。 「これって、昨日坂本先生が持っとったやつ?」 「そう。1部ずつコピーを貰ったの」  頷きながら写真を全て床に並べる。 「私もさっき確認していて気付いたんだけど、これ見て。全体を見て比べると……」 「この辺はほぼ悪戯されてへん?」  陽がはっとして顔を上げる。  大きく頷いて言葉を続ける。 「うん。昨日は直さなきゃって必死で、汚れの酷いところにしか目がいかなかった」  でも逆だった。この短時間で直すなら、汚れの少ないところに目を向けなきゃいけなかった。 「よく見ると中央の部分と左上……この辺はちょっと手直しすればそのまま使える。36枚のうちの約半分は直すのにそんなに時間はかからないと思う」 「なるほどな。でもそれ以外のところは?」  先程陽に手渡した紙を、写真と一緒に床に並べる。 「汚れのひどいところは全部元通りに直していたら間に合わない。だから分けるの」 「分ける?」  描いた絵の上に直線を引っ張って分割しながら説明していく。 「ここが今まで描いたものを生かして塗り直しをするところ。そして、ここからが新しく作り直すところ」 「新しく作り直すって、それこそ間に合わんやろ?」  陽が眉を顰める。
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