1651人が本棚に入れています
本棚に追加
「やると決まったら作戦会議やな」
「うん」
「まずは何からしたらいい?」
「ちょっとこれ見て」
向き合った陽との間に写真を広げた。全部で36枚ある。1枚ずつ全部のベニヤ板を撮影してあった。
「これって、昨日坂本先生が持っとったやつ?」
「そう。1部ずつコピーを貰ったの」
頷きながら写真を全て床に並べる。
「私もさっき確認していて気付いたんだけど、これ見て。全体を見て比べると……」
「この辺はほぼ悪戯されてへん?」
陽がはっとして顔を上げる。
大きく頷いて言葉を続ける。
「うん。昨日は直さなきゃって必死で、汚れの酷いところにしか目がいかなかった」
でも逆だった。この短時間で直すなら、汚れの少ないところに目を向けなきゃいけなかった。
「よく見ると中央の部分と左上……この辺はちょっと手直しすればそのまま使える。36枚のうちの約半分は直すのにそんなに時間はかからないと思う」
「なるほどな。でもそれ以外のところは?」
先程陽に手渡した紙を、写真と一緒に床に並べる。
「汚れのひどいところは全部元通りに直していたら間に合わない。だから分けるの」
「分ける?」
描いた絵の上に直線を引っ張って分割しながら説明していく。
「ここが今まで描いたものを生かして塗り直しをするところ。そして、ここからが新しく作り直すところ」
「新しく作り直すって、それこそ間に合わんやろ?」
陽が眉を顰める。
最初のコメントを投稿しよう!