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「賛成」
静寂を断ち切ったのは、蘭の声だった。
「あたしも凛の絵、上手だと思うよ。小学生のときは、市長賞ももらってたし」
市長賞をさり気なく強調してニコリと語る彼女には、何か女優の才能があるのかもしれない。
蘭の発言をきっかけに、周りは「マジで?」「市長賞ってすごくね?」「でも小学生のときでしょ。今はどうなんだろう」と口々に呟き始める。
みんなの表情が困惑したものから「この二人がそこまで言うなら、もしかしてこれは乗っかっていい船なのか」と疑念を抱いたものに徐々に変わっている時だった。
極めつけは、坂本先生が大欠伸の後で放った一言だった。
「一ノ瀬か。そういえば美術の及川先生が前に『一ノ瀬さんはどうして美術部に入らなかったんでしょう』って言ってたなぁ」
みんながごくりと唾を呑む。
数分後、黒板のパネル責任者のところには『一ノ瀬 凛』――私の名前が刻まれた。
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