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駆け付けた先生たちに、SHRが始まるからと、倉庫前に集まっていた生徒は自教室へと追い返された。
「この後のことは職員会議で話し合うから、あなたたちも戻りなさい」
そう言われて反抗する気力もなく足を進める。
登校して間もない朝の出来事だったのに、学校内は既に騒ぎになっていた。廊下を進む私をみんなが哀れむような眼で見ているような気がした。
教室へと足を踏み入れると、その途端、先程まで騒ついていた室内は嘘みたいに静まり返る。お通夜状態っていうのはこういうときのことをいうのかと妙に冷静になりながら自分の席に着く。
「大丈夫だって。何とかなるよ」
「犯人もすぐに見つかるって」
何人かがすぐさま私に駆け寄って来て声を掛けた。心配してくれているのだろう。しかし、クラスメイトの腫れ物に触るような態度と軽々しい物言いに、上辺だけの笑顔で「そうだね」と返すので精一杯だった。
先生たちも休み時間を使って、生徒に事情を聞いているみたいだった。現に私も、授業の合間に、話を聞かせてほしいと呼び出された。
しかし、時間が経てば経つほど、私の頭の中を渦巻いていくのは黒い感情だけだった。
一体、職員会議で話し合って何になるのか。こんな風に事情を聞いて役に立つのか。
犯人を捜して、万一その犯人が見つかったとしても――たとえ見つかったとしても意味なんてない。
一度壊れたものは、もう二度と元には戻らない。
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