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「とりあえす職員会議で話し合ったんだが……今朝の件な」
いつもと変わらない単調な坂本先生らしい話し方だ。でも、緊張感が走るのは、ここが慣れない職員室という場所だからと、聞いている内容が内容だからだろう。
「被害を受けたのはうちのクラスだけで、他のクラスのパネルは何ともない。まあ、どっからどう見ても悪意のある悪戯だよな」
坂本先生の中指がトントンと教師机に一定のリズムを刻む。
机上には写真が広げられていた。写っているのはうちのクラスのパネルだ。悪戯の証拠写真なのだろう。
「倉庫内に保管してあった黒のペンキの蓋が開けっ放しになっていたから、おそらくそれが使われたんだろうな。最初に発見したのは朝、作業に来た1組の女子生徒の数人らしい。ちなみに昨日倉庫に入ったのは夕方5時頃、6組の生徒が最後だそうだ。その時は特に変わったことはなかったらしい」
先生は探偵みたいに、状況を淡々とした口調で話し続ける。
「倉庫内は普段鍵の施錠をしておらず、いつでも扉を開けられる状態だった。ということは……」
「誰がやったか特定するのは難しい、ってことですか」
先生の言葉を遮って陽が横で呟く。
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